昨年は岩手競馬の存続問題が、県民を巻き込んでの大きな議論となりました。
構成団体による330億円の融資案が一旦は県議会で否決されたものの、臨時議会での修正案が1票差で可決。一転 存続が決定し、平成19年度の再スタートを迎えることになったのはご承知のとおりです。
その岩手競馬が、開幕から折り返しの時期を迎えようとしております。競馬組合は第1期終了後、販売額の低迷を踏まえ、売上を当初見込みの
299億円から275億円に(△24億円、8.2%減)
コストを
70億円から65億円 (△4億8100万円、9.3%減)
にそれぞれ下方修正しています。事業継続の大前提となっている収支均衡(赤字を出せない)を果たす為、関係者とのコスト調整がなされた為です。
図らずも、県議会で再三指摘されたように、再建計画の売上見込みがそもそも過大であることが、現実のものとなっています。そして見直し後の売上計画に対する達成率は
96.7% 対前年比91.5%
となっています。(8月27日現在)
全国的な馬インフルエンザの発生が岩手競馬にも波及し、レースへの影響も出始めています。
今後このまま販売状況が好転しなければ、更なるコスト縮減を関係者で協議していかなければなりません。依然厳しい環境にあるのが岩手競馬の現実です。
4月に、構成団体と競馬組合は、適正な事業運営と改革計画の推進を目的として、民間人4名の委員からなる「事業運営監視委員会」を作り、経営悪化と累積債務の拡大に至った経緯などの検証を行なっていましたが、先日その調査審議結果が示されました。
それによると
■盛岡競馬場の建設費が当初の236億円から410億円に膨れ上がったこと
■売上が減り始めた平成7,8年と実質赤字に陥った平成12年の2度、実現可能な経営改善計画を策定すべきであったこと
■売上減少に応じたコスト削減、経費総額の圧縮に努めるべきであったこと
■第3セクターによる施設整備や借入金依存による施設整備方式により、投資が過剰になったこと
などが指摘されています。
しかしながら、この検証の大事な視点である法的・経営的な立場からの責任論に深く踏み込んだ指摘に至らなかったのは残念な気がします。
「明らかに法令に違反するもの」や「著しく合理性を欠くもの」は認められない、との結論付けのなか、競馬組合は著しくその経営を悪化させたけれども、経営的な立場にあった人は誰も悪くない、ということになってしまいます。
世の民間企業等の経営的立場にある人は、いくら適法な経営をしても経営内容を悪化させた、という事実をもって、経営上の責任を取らなくてはなりません。
この委員会の存在からすると現状での指摘が精一杯、とのことは理解できますが、期待をしていただけにその限界を思い知らされる結果になった気がします。
この委員会の助言にも示されている、「企業意識とコスト意識」の徹底は常に言われることですが、やはりその意識は、経営上の責任と表裏一体となって、初めて生まれるものだと考えます。
行政の財政改革が進められる中、競馬組合のような種々の組合、公営企業、出資法人、第三セクター等々、これからはこの種の問題がどんどん表面化してくるものと思いますが、行政にも企業意識・コスト意識を徹底させるための仕組み、法改正、制度化などを根本的に議論する時期ではないかと思えてなりません。